企業YouTubeが伸びない7つの原因|改善策と支援事例

「毎週投稿しているのに、再生数が数百回から増えない」「登録者は増えたのに、問い合わせが一件も来ない」。企業のYouTubeご担当者から、こうした伸び悩みのご相談をよくいただきます。
企業YouTubeが伸びない原因の多くは、動画の出来栄えではなく「誰に・何を・どう届けるか」というチャンネルの設計にあります。本記事では、YouTube運用代行として5年間、医療・健康・美容など10以上の企業チャンネルを支援してきた株式会社NB2が、伸び悩みの原因を7つに整理し、それぞれの改善策を解説します。
立て直しの支援事例もあわせてご紹介します。
この記事でわかること
- 企業YouTubeが「伸びない」ときの2つのタイプと、判断する前に知っておきたいこと
- 伸び悩みのご相談で特に多い3つの原因と、そのほかの原因
- 再生数はあっても問い合わせにつながらない原因と改善策
- 伸び悩みから立て直した支援事例と、自社で見直す進め方
企業YouTubeが伸びないときは、まず「何が伸びていないか」を切り分ける
原因を探す前に、何が伸びていないのかをはっきりさせましょう。ここが曖昧なまま手を打つと、的外れな改善を続けることになりかねません。
「再生数が伸びない」と「成果につながらない」は別の問題
企業のYouTubeで「伸びない」と言うとき、実は2つの異なる状態が混ざっています。1つは、そもそも動画が見られていない状態。もう1つは、再生数はある程度出ているのに、問い合わせや予約、売上につながっていない状態です。
前者は動画を届ける力の問題、後者は視聴者を行動へ導く設計の問題で、打つべき手がまったく違います。本記事では、前者を原因1〜6、後者を原因7として分けて解説します。
YouTubeは、視聴者の「満足度」を手がかりに動画を届けている
YouTube公式ブログでは、おすすめ動画の仕組みについて、決まった「レシピ」があるわけではなく、800億件を超えるシグナルから日々学習していると説明されています。そのうえで、クリック数、総再生時間、視聴後のアンケートへの回答、共有、高評価・低評価といった複数のシグナルが組み合わさり、視聴者の満足度をシステムに伝えているとしています。
つまり、動画が広がるかどうかは、ある意味では「クリックされるか」「しっかり見てもらえるか」「見た人が満足したか」の積み重ねで決まっていきます。ただし私たちは、YouTubeの仕組みやアルゴリズムを理解したうえで、正しい道を歩み、それを積み重ねることが欠かせないと考えています。理解が足りないまま運用していると、上記の3つを意識するだけでは伸びないこともあるためです。
再生数の「天井」は、ジャンルと目的によって変わる
もう一つ知っておきたいのが、期待値の置き方です。どのジャンル・カテゴリーに参入するか、そしてどんな目的で動画をつくるかによって、再生数の上限、いわゆる「天井」はある程度予測できます。
ここで注意したいのは、ジャンルだけで天井が決まるわけではないことです。たとえば、認知を広げるための企画と、集客につなげるための企画では、内容が異なります。認知に特化した企画は、教育系のノウハウ動画というより、エンタメ寄りで幅を持たせた内容になります。同じジャンルでも、こうした細かな目的の違いによって、見込める再生数は変わってきます。
チャンネルの目的に照らして、見込める天井を大きく超える数百万回の再生を目標にしている場合は、目標そのものが実態とずれている可能性があります。「頑張ればトップ層を狙えるはず」と考えている企業は多いのですが、決してそうとは限りません。NB2では、まず期待値の調整からご相談し、地に足のついた数値目標をご提案しています。
伸び悩みのご相談で特に多い3つの原因
ここからは、動画そのものが見られていないケースです。7つの原因のうち、私たちが伸び悩みのご相談を受ける中で特に多いと感じているのが、次の3つです。
執筆者・石橋の視点
伸び悩みのご相談をいただいたとき、私が最初に確認するのは動画のクオリティではなく、チャンネルの設計です。設計の各所に「やってはいけないポイント」がいくつかあり、特に通常動画の平均再生数が100回以下のチャンネルでは、ほぼ一律に同じような「やってはいけないこと」をしているケースが見られます。その多くが、これからご紹介する3つの原因です。
原因1:会社が伝えたいことを中心に企画している
企業のチャンネルで最も多いのが、自社の商品紹介や会社の取り組みなど、「会社が伝えたいこと」から企画を決めてしまうケースです。視聴者は企業の宣伝を見るためにYouTubeを開くわけではありません。そのため、こうした動画はクリックされにくく、見られても途中で離れられがちです。
改善策は、企画の出発点を視聴者の側に移すこと。NB2では、市場調査で視聴者のニーズや悩みを分析し、そこにクライアントの強みや専門性を掛け合わせて企画を立てています。いわゆる「マーケットイン」の考え方です。視聴者が検索しそうな悩みに、自社だからこそ答えられる動画をつくる。この順番に変えるだけで、数値が動き始めることは珍しくありません。
原因2:YouTubeの仕組みを理解しないまま、動画を量産している
「本数を出せば、いずれ伸びるはず」と考え、YouTubeの仕組みやアルゴリズムを理解しないまま動画を量産しているケースも多く見られます。本数を増やすこと自体が悪いのではなく、誰に届けたいのか、どんな軸で発信するのかが定まらないまま動画を積み重ねてしまうことが問題です。
その典型が、ショート動画の量産です。手軽に再生数を稼げるとして、ショート動画を大量に投稿する企業も増えています。ただ、私たちはショート動画を量産した結果、長尺の通常動画が伸びにくくなったケースを見てきました。実際に、立て直しに半年ほどかかったチャンネルもあります(後述の支援事例でご紹介します)。
改善策は、量を増やす前に、チャンネルの軸と届けたい視聴者を決め直すことです。軸に合わない過去の動画は、非公開または削除などの整理も検討してください。立ち上げ期は長尺動画に集中し、ショート動画はチャンネルが安定してから役割を決めて取り入れるのが安全です。立ち上げ期の進め方は、「企業YouTubeの始め方|法人チャンネル開設から初投稿までの手順」で解説しています。
原因3:投稿が続かず、評価される前に止まっている
立ち上げでよくある失敗が、最初の数本で更新が止まってしまうことです。投稿が止まれば、チャンネルが評価される機会そのものがなくなります。
本気で伸ばしたい場合、NB2では立ち上げ期の毎日投稿をおすすめしています。初速をつけ、チャンネルが安定してきたら頻度を落とす進め方です。原因2の「量産」とは違い、軸が定まったうえで本数を重ねることは、むしろ伸ばすための近道になります。難しい場合も、続けられる頻度を先に決め、2週間分ほどの動画をストックしてから公開を始めると、更新が途切れにくくなります。
そのほかの再生数が伸びない原因
特に多い3つに心当たりがない場合は、次の3つも確認してください。
原因4:サムネイルとタイトルで選ばれていない
どれだけ内容がよくても、サムネイルとタイトルで「見たい」と思ってもらえなければ、動画は再生されません。YouTube Studioのアナリティクスでは、表示されたうちクリックされた割合(インプレッションのクリック率)を確認できます。
NB2の支援先では、サムネイルとタイトルを見直したことで、クリック率が4%ほどから7〜8%ほどまで上がった例があります。ただし、内容と合わない大げさなサムネイルでクリックを集めても、すぐに離脱されれば満足度は下がってしまいます。「この動画を見ると何がわかるのか」が一目で伝わり、中身と一致していることを優先してください。
原因5:冒頭や構成で視聴者が離れている
クリックはされているのに再生時間が短い場合は、動画の中身に原因があります。台本を一字一句まで作り込んでいるなら、撮影前の段階で、動画のハイライトや本編へつなげる強い言葉、伏線を冒頭にどう散りばめるかを詰めておくことができます。
一方で、NB2ではあえて、話すセリフまで決めた台本は作っていません。出演する先生ご自身の人柄や、リアルな話しぶりを伝えるほうが大切だと考えているためです。ただし、何も決めずに撮影しているわけではありません。企画や動画の構成、どんな話をしていただきたいかは、撮影前に出演者の方へお伝えしています。
そのうえで、冒頭から何秒以内で視聴者が離脱しているか、各動画でどんな話をしているかを踏まえて、日々ブラッシュアップしています。カットや編集で手を入れる箇所を決めるだけでなく、必要に応じて「冒頭でどんなことを、どのように話していただきたいか」もクライアント様にお伝えしています。
原因6:「人」が見えず、ファンが生まれていない
話すセリフがすべて台本で決められている動画では、出演者の人柄や人間性、人間味といったものが、なかなか表に出てきません。結果として、情報を読み上げるだけの動画になり、視聴者が「この人の話をまた聞きたい」と思うきっかけが生まれにくくなります。情報だけの動画には、ファンがつきにくいと私たちは考えています。
私たちの経験では、会社やチャンネルそのものにファンをつけるより、「人」にファンをつけるほうがはるかに難易度が下がりやすいと感じています。専門の知識や経験を持つ方が、顔を出して継続的に出演するのが理想的な形です。一人で話す動画が単調になってきたら、専門家との対談など、異なる視点を掛け合わせる企画も効果的です。
再生数はあっても問い合わせにつながらない原因と改善策
2つ目のタイプは、ある程度見られているのに、事業の成果に結びつかないケースです。再生数を伸ばすことと、成果につなげることには、それぞれ別の設計が必要になります。
原因7:視聴者を成果へ運ぶ「導線」が設計されていない
再生数が出ているのに問い合わせが来ないチャンネルを見ると、すべての動画が「多くの人に見てもらうこと」だけを目的につくられていることがよくあります。見られる動画と、信頼して行動してもらうための動画では、役割が違います。
私たちは企画を3つの役割に分けて組み合わせています。多くの人に見つけてもらう企画、視聴者に必要な知識を届けて理解を深めてもらう企画、そして自社の商品やサービスに興味を持ってもらう企画です。この3つがつながっていると、視聴者の関心は自然と次の行動へ流れていきます。
あわせて見直したいのが、動画内での呼びかけと概要欄での案内です。どのページへ進めばよいのか、何をすれば相談できるのかが明確でなければ、興味を持った視聴者も行動に移れません。商品やサービスにつながる検索ワードからの流入を増やすことも、成果に直結しやすい施策です。
再生数が多いほど、ビジネスへの効果が大きいとは限らない
企業のYouTubeでは、再生数が多ければ多いほどビジネスへの影響が大きくなる、というわけではありません。再生数は少なくても、売上に直結する運用の仕方もあります。
すぐに相談や購入を考えている「顕在層」と、まだ関心が浅い「潜在層」のどちらに向けた動画なのかを分けると、追うべき数字も見えてきます。この考え方は、「YouTubeマーケティングとは?メリット・デメリットと成果の出し方」で詳しく解説しています。
執筆者・石橋の視点
再生数はあるのに成果につながっていないチャンネルは、もしかすると、再生数だけが伸びないチャンネルと同じような「やってはいけないこと」をしているのかもしれません。私たちの実感では、単純に再生数を取りに行くことだけを目的にした運用は、原因1〜3のどれかに当てはまっていることが多いと感じています。再生数がそれなりに出ていても、その延長線上に事業の成果があるとは限らないのです。
【支援事例】伸び悩みから立て直した3つのケース
NB2が支援してきた10以上の企業チャンネルの中から、伸び悩みの状態から立て直したケースを、原因ごとにご紹介します。いずれも一例であり、同じ成果をお約束するものではありません。
ショート動画は回るのに通常動画が見られない状態から立て直し、平均再生数が約10〜50倍に(原因2)
美容系のある企業は、以前は制作のみを請け負う会社にYouTubeを依頼していました。ショート動画の再生数は回っていたものの、通常動画は公開してもほとんど再生されず、1本あたりの平均再生数は100回前後にとどまっていました。
NB2では、まず通常動画の精査から始めました。過去の通常動画のうち、チャンネルの軸として一貫していないものは非公開にするなど、設定を見直しています。そのうえで複数の試作を重ね、通常動画の数値を上げるためのテコ入れを繰り返しました。
支援開始から半年ほどで、通常動画の1本あたりの平均再生数は1,000〜5,000回まで改善しています。コメント数やエンゲージメントも大きく伸び、視聴者との距離が縮まってファン化が進んだと私たちは感じています。動画を見たうえで足を運んでくださったお客様の声も届くようになり、集客の面でも数字が動き始めました。
この企業で特に効果が大きかった対談コンテンツなど、施策の詳細は「企業YouTube成功事例5選|業種別に見る成果と共通点」でご紹介しています。
6本で止まったチャンネルを作り直し、集客の半分以上をYouTubeから(原因3)
美容系のある企業は、以前に一度YouTubeを始めたものの、6本ほど投稿したところで更新が止まり、チャンネルを放置していました。NB2の支援では、代表が出演する新しいチャンネルを立ち上げ直し、3年にわたって運用を続けてきました。現在、この企業の集客の半分以上はYouTubeから生まれています。
導線を設計し直し、リスト獲得0件から月最大4,000件へ(原因7)
社内でYouTubeを運用していたある企業は、ある程度の数値は取れていたものの、売上やリストの獲得につなげられずにいました。NB2では、企画の役割分担、商品につながる検索ワードのSEO強化、動画内や概要欄での誘導の見直しを行い、リストの獲得は0件から最大で月4,000件まで伸びています。
この事例の詳しい経緯は、「YouTube運用は内製と外注どちらがいい?判断基準と併用パターン」でご紹介しています。
企業YouTubeの伸び悩みを改善する進め方
NB2が伸び悩んでいるチャンネルの支援に入るときの考え方をもとに、見直しの進め方をまとめました。
- チャンネルの目的と、ジャンルに見合った現実的な数値目標を決め直す
- 表示回数、クリック率、視聴者維持率、回遊率、視聴後の行動など、すべての数値を同じ期間で計測する
- 数値を比較・分析し、どこで落ち込んでいるのか、原因1〜7のどれに当たるのかを見極める
- 原因に合わせて改善し、同じ条件で計測して変化を確認する
- 改善できる要素がほとんど見当たらない場合は、チャンネルの作り直しも選択肢に入れる
ポイントは、1つの数値だけを見て判断しないことです。クリック率だけ、再生数だけを追っても、チャンネル全体で何が起きているのかは見えてきません。
「回遊率」も見ておきたい数字の一つ
あまり注目されていないかもしれませんが、私たちがかなり意識しているのが「回遊率」です。ここでいう回遊率は、ある動画を見た人が、次にチャンネル内のほかの動画へどれだけ移っているかを示す数値です。チャンネルの中で次々と動画を見てもらえているかは、視聴者との関係の深さを表すと私たちは考えています。
自社だけで原因を見極めるのが難しいときは
アナリティクスの数字から「次に何をつくるか」を導き出すのは、経験がないと難しい作業です。私たちの経験上、内製でつまずく企業の多くは、編集などの制作ではなく、企画や分析といった戦略の部分で迷っています。
その場合も、すべてを外部に任せる必要はありません。編集は社内で担い、企画や分析だけを任せる形もあります。どの業務を任せるべきかは「YouTube運用は内製と外注どちらがいい?判断基準と併用パターン」、外注した場合の費用感は「YouTube運用代行の費用相場|料金体系・プラン別の目安と内訳」で解説しています。
企業YouTubeが伸びないときのよくある質問
伸び悩みのご相談の中で、特によくいただく質問にお答えします。
企業YouTubeは、どのくらいで伸び始めますか?
私たちの支援経験では、再生数は立ち上げから3ヶ月以内に伸び始めるケースが多いです。一方で、問い合わせや予約など事業の成果として手応えを感じるまでには、数ヶ月から1年程度は見ておく必要があります。
数百万回再生を目指すことはできますか?
再生数の天井は、参入するジャンルや、認知・集客といったチャンネルの目的によって変わるため、どの企業でも目指せるわけではありません。まずはジャンルと目的の両方を踏まえて、現実的な目標を立てることをおすすめしています。
毎日投稿しないと伸びませんか?
毎日投稿は初速をつけるうえで効果的ですが、必須ではありません。チャンネルの軸を定めたうえで、続けられる頻度を守ってください。
再生数が多いのに問い合わせが来ないのはなぜですか?
多くの場合、見てもらうための企画しかなく、視聴者を商品やサービスへ導く企画や案内が不足しています。企画の役割分担と、動画内・概要欄での誘導を見直してください。
伸びないチャンネルは作り直したほうがいいですか?
まずは改善を検討してください。NB2では、数値やチャンネルの状態を見たうえで、チャンネルを立て直せそうな要素がほとんどないと判断した場合に、作り直しをご提案しています。判断には数値だけでなく、経験に基づく見極めも必要になります。
まとめ:伸び悩みは「設計」から見直す
企業YouTubeが伸びない原因は、再生数が伸びないタイプと、再生数はあっても成果につながらないタイプに分かれます。
まずは次の3点から見直してください。
- 「再生数」と「成果」のどちらで止まっているのか、ジャンルに見合った目標になっているかを確認する
- すべての数値を同じ期間で計測し、比較したうえで原因を見極める
- 企画の出発点を「会社が伝えたいこと」から「視聴者が知りたいこと」に移す
伸び悩みは、チャンネルの可能性がなくなったという意味ではありません。設計を見直せば、今の体制のままでも数字は動き出します。
YouTubeの伸び悩みのご相談は株式会社NB2へ
株式会社NB2では、チャンネルの立ち上げから企画、撮影、編集、投稿設定、分析・改善施策の提案まで、企業のYouTube運用を一貫してサポートしています。編集は社内で行い、企画や分析をNB2が担うスタンダードプランもご用意しています。ビジネスを伸ばしながら、クライアント様にできるだけ快適に、のびのびとYouTubeに取り組んでいただくことを大切にしています。「今のチャンネルがどこで止まっているのか知りたい」「目標の立て方から相談したい」という段階からでも、お気軽にご相談ください。
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この記事の執筆者
石橋 孝紀(株式会社NB2 YouTubeプロデューサー) YouTube運用代行として5年間、企業系10チャンネル以上の立ち上げ・運用を支援。中長期で成果を積み上げる運用と、クライアントが楽しみながら続けられる関係づくりを大切にしている。
出典・参考