企業YouTubeの始め方|法人チャンネル開設6ステップ

「YouTubeを始めたいけれど、何から手をつければいいかわからない」「法人としてチャンネルを開設するとき、アカウントや権限はどうすればいいのか」。企業YouTubeの立ち上げを検討しているご担当者から、こうしたご相談をよくいただきます。
企業YouTubeは、思いつきで動画を投稿し始めても、なかなか成果にはつながりません。誰に向けて、どんな世界観で、何を発信するのか。開設前の設計によって、その後のチャンネルの伸び方は大きく変わります。
本記事では、YouTube運用代行として5年間、業種の異なる10以上の企業チャンネルの立ち上げ・運用を支援してきた株式会社NB2が、企業YouTubeの始め方を、法人チャンネルの開設から初投稿までの6つのステップで解説します。私たちが実際の立ち上げ支援で行っている進め方をそのままご紹介しますので、これからYouTubeチャンネルを開設する法人のご担当者は、手順書としてお役立てください。
この記事でわかること
- 企業YouTubeの始め方の全体像と、初投稿までにかかる期間の目安
- 法人のYouTubeチャンネルを開設する手順と、権限設定のポイント
- 最初の動画の企画、投稿頻度、立ち上げ期のショート動画の扱い方
- 立ち上げでよくある失敗と、NB2の支援事例
企業YouTubeを始める前に知っておきたいこと
開設から初投稿までの目安は2ヶ月前後
企業YouTubeは、チャンネルを開設したその日から動画を投稿できるわけではありません。チャンネルの設計、企画、撮影、編集と、初投稿までにいくつもの工程があります。
NB2が立ち上げを支援する場合、最初のヒアリングから初投稿までは、おおよそ2ヶ月前後を目安にしていただいています。早く始めたい気持ちもあるかと思いますが、この期間の設計が、公開後のチャンネルの伸び方を大きく左右します。
なお、YouTubeマーケティングの考え方やメリット・デメリットについては、「YouTubeマーケティングとは?メリット・デメリットと成果の出し方」で解説しています。
企業YouTubeの始め方・全体の流れ
企業YouTubeを始めるまでの流れは、次の6つのステップに整理できます。
- ステップ1:目的・ターゲット・競合を整理する
- ステップ2:チャンネルのコンセプトと世界観を設計する
- ステップ3:法人のYouTubeチャンネルを開設する
- ステップ4:最初の動画を企画する
- ステップ5:撮影・編集を進め、2週間分のストックをつくる
- ステップ6:投稿頻度を決めて運用を始める
ステップ1と2が「設計」、ステップ3が「開設」、ステップ4〜6が「制作と運用開始」です。チャンネルの開設そのものは短時間で終わりますが、その前後の設計と準備にこそ時間をかけるべきだと私たちは考えています。
ステップ1:目的・ターゲット・競合を整理する
NB2の立ち上げ支援は、必ずヒアリングから始まります。ここで、チャンネルの目的、ペルソナ・ターゲット、競合チャンネルや市場の状況、出演者について、クライアント様とすり合わせを行います。
チャンネルの目的を決める
新規集客なのか、ブランディングなのか、採用なのか。目的によって、作るべき動画も追いかける数字も変わります。目的があいまいなまま始めると企画の軸がぶれ、誰に向けたチャンネルなのかが視聴者に伝わりにくくなります。
ペルソナ・ターゲットを具体的にする
次に、動画を届けたい相手を具体的にします。年齢層、抱えている悩み、興味のあること、普段YouTubeでどんな動画を見ているか。ペルソナが具体的なほど、企画やタイトル、話し方まで判断しやすくなります。
競合チャンネルと市場をリサーチする
同じテーマで発信しているチャンネルでは、どんな動画が見られているのか。視聴者はどんな情報を求めているのか。競合チャンネルと市場をリサーチし、自社が入り込める余地や差別化できるポイントを探します。この調査結果が、ステップ2のコンセプト設計と、ステップ4の企画づくりの土台になります。
ステップ2:チャンネルのコンセプトと世界観を設計する
ヒアリングとリサーチの内容をもとに、チャンネルのコンセプトを設計します。NB2では、チャンネルの目的に向けてどう設計し、どんな戦略で攻めるかを分析したうえでコンセプトをご提案し、クライアント様に確認していただいています。
出演者のキャラクター×視聴者のニーズで世界観をつくる
コンセプトを決めるときに私たちが重視しているのが「世界観」です。出演者のキャラクターと、ペルソナ・ターゲットのニーズや興味、年齢層を踏まえて、どんな世界観をつくれば親しまれるか、興味を持ってもらえるかを分析し、具体的なアイデアに落とし込みます。
同じ情報を伝える動画でも、誰が、どんな雰囲気で、どんな言葉で話すかによって、視聴者の受け取り方は大きく変わります。世界観が定まると、チャンネル名やサムネイル、動画の構成まで一貫性が生まれ、「このチャンネルらしさ」が視聴者に伝わりやすくなります。
出演者は専門知識のある方の「顔出し」がおすすめ
出演者について、NB2では顔出しでの出演をおすすめしています。また、出演者には、そのテーマについて専門の知識・経験・ノウハウを持っている方が適しています。
執筆者・石橋の視点
チャンネルや会社そのものにファンをつけるのは、実はかなり難しいことです。一方で、「人」にファンをつけるほうが、はるかに難易度が下がりやすいと感じています。専門知識を持った方が顔を出し、自分の言葉で語ることで、視聴者は「この人の話をもっと聞きたい」「この人に相談したい」と感じてくれます。その信頼が、結果として会社への信頼にもつながっていきます。
ステップ3:法人のYouTubeチャンネルを開設する
コンセプトが固まったら、いよいよチャンネルを開設します。ここでは、YouTube公式ヘルプの手順をもとに、法人で開設する際のポイントを整理します。操作画面は変更されることがあるため、実際に操作する際は公式ヘルプもあわせてご確認ください。
会社用のGoogleアカウントを用意する
YouTubeチャンネルの作成には、Googleアカウントが必要です。法人で運用する場合は、担当者個人のアカウントではなく、会社で管理するアカウントを使うのが基本です。担当者の異動や退職があっても、会社としてチャンネルを管理し続けられるようにするためです。
NB2では、会社用にすでにあるGoogleアカウントを使う場合も、新しく作成する場合も、その後の権限付与まで考慮したうえで、丁寧に開設を進めています。
ビジネス名でチャンネルを作成する
YouTube公式ヘルプでは、Googleアカウントとは別の名前(会社名や商品名など)でチャンネルを運用したい場合、チャンネルをブランドアカウントにリンクさせる方法が案内されています。手順の概要は次のとおりです。
- パソコンまたはモバイルサイトでYouTubeにログインする
- アカウントのチャンネル一覧に移動し、「新しいチャンネルを作成」をクリックする
- プロフィール写真、名前、ハンドルを設定する
- 「チャンネルを作成」をクリックする
この方法で作成すると、新しいブランドアカウントとしてチャンネルが作られ、複数の管理者や所有者を設定できるチャンネルになります。
担当者や外注先には「チャンネルの権限」で役割を付与する
社内の複数の担当者や、運用代行などの外部パートナーとチャンネルを運用する場合は、YouTube Studioの「チャンネルの権限」機能を使います。公式ヘルプによれば、この機能を使うと、チャンネル所有者のGoogleアカウントにアクセスさせることなく、複数のユーザーにレベルの異なる権限を付与できます。パスワードなどのログイン情報を共有するより安全だとも説明されています。
役割には、チャンネルの削除を含むすべての操作ができる「所有者」、権限の管理やコンテンツの公開・削除ができる「管理者」、コンテンツの公開はできても公開済みコンテンツの削除や権限の管理はできない「編集者」、閲覧のみの「閲覧者」などがあります。権限の付与は、YouTube Studioの「設定」から「権限」を開き、招待するユーザーのメールアドレスと役割を指定して行います。なお、ブランドアカウントの場合は、先にチャンネルの権限への移行が必要です。
私たちは、ログイン情報をそのまま共有するのではなく、担当者ごとに必要な役割だけを付与する形をおすすめしています。担当変更や契約終了の際にも権限を見直しやすく、会社としてチャンネルを安全に管理できるからです。
チャンネル名・アイコン・バナー・概要欄を設定する
チャンネルを作成したら、チャンネル名、アイコン、バナー、概要欄、リンク(ホームページやLINEなど)を設定します。
NB2では、これらをSEOの観点を踏まえつつ、出演者や世界観を交えた構成で作成しています。たとえば概要欄には、視聴者が検索しそうな言葉を自然に入れながら、「誰が、誰に向けて、何を発信しているチャンネルか」が伝わる文章を書きます。アイコンやバナーは、ステップ2で設計した世界観と出演者の雰囲気がひと目で伝わるものにします。
また、概要欄やリンクには、ホームページや問い合わせ先への導線を必ず設けましょう。動画を見て興味を持った方が、次の行動に移りやすくなります。
ステップ4:最初の動画を企画する
チャンネルの準備が整ったら、動画の企画に入ります。NB2では企画を作成してご提案し、クライアント様とすり合わせてから撮影に進んでいます。
市場のニーズ×自社の目的・強みで企画する
企画づくりで私たちが大切にしているのは、「マーケットイン」の考え方です。会社が伝えたいことから企画を考えるのではなく、まず市場調査を行い、市場にいる視聴者のニーズを分析します。そのうえで、そのニーズとクライアント様の目的・強みが掛け合わさる内容を企画に落とし込みます。
視聴者が知りたいことに答える動画であれば、検索やおすすめから見つけてもらいやすくなります。さらに、その答えが自社の強みと結びついていれば、動画を見た方が「この会社に相談したい」と感じるきっかけになります。なお、投稿頻度によって戦略の組み立て方は変わるため、企画はステップ6の投稿頻度とあわせて考えます。
撮影機材はスマートフォンから始めてよい
撮影機材は、質を求め始めるとキリがありません。初めてYouTubeに取り組むのであれば、スマートフォンで始めても問題ないと私たちは考えています。
ただし、明るさと音質には少しこだわることをおすすめします。画面が暗い動画や声が聞き取りにくい動画は、内容がよくても最後まで見てもらいにくくなるからです。高価なカメラをそろえるより、明るさと音を整えるほうが、視聴者の見やすさ・聞きやすさに直結します。
ステップ5:撮影・編集を進め、2週間分のストックをつくる
撮影から投稿設定までの流れ
NB2の支援では、企画から投稿設定までを次の流れで進めています。
- 企画をご提案し、すり合わせる
- 内容に問題がなければ撮影する
- 撮影データをもとに動画を編集する
- 編集した動画を確認し、サムネイルを制作する
- 動画とサムネイルの両方をクライアント様に確認していただく
- 問題がなければ、SEOの観点を踏まえて投稿設定を行う
動画とサムネイルをセットで確認していただくのは、視聴者が最初に目にするのはサムネイルとタイトルであり、動画の中身と一体で考える必要があるからです。
2週間分のストックができてから初投稿を始める
この工程を繰り返し、最低でも2週間分の動画のストックができた時点で、初投稿をスタートします。
ストックがない状態で始めると、撮影や編集が少し遅れただけで投稿が止まってしまいます。立ち上げ直後は、決めた頻度で投稿を続けることが何より大切です。ストックという余裕を持ってスタートすることで、無理なく投稿を続けられます。
ステップ6:投稿頻度を決めて運用を始める
本気で伸ばすなら毎日投稿、安定したら頻度を調整する
投稿頻度は、基本的にクライアント様がどれだけリソースを割けるかによって決めます。そのうえで、本気でチャンネルを伸ばしたいのであれば、NB2では毎日投稿をおすすめしています。
立ち上げ期は、なるべく早く初速をつけられる状態を整えることが重要です。そして、チャンネルが安定してきたら投稿頻度を落としていく。これが、私たちがおすすめしているやり方です。
立ち上げ期は長尺動画のみに集中する
立ち上げ期に、ショート動画を並行して投稿することはおすすめしません。立ち上げ期は長尺動画のみに集中してください。
詳しい仕組みは複雑になるため割愛しますが、立ち上げ期にショート動画を並行すると、チャンネルの状態が悪い方向へ進むことが多いと私たちは感じています。実際に、ショート動画を量産したことで伸びにくくなったチャンネルを支援したことがありますが、立て直すまでに半年かかりました。チャンネルの状態によっては、立て直すよりも1からチャンネルを作り直したほうが早い場合もあります。
初期に見るべき数字
立ち上げ直後の数値は、まだ母数が少なく、当てにならないことが多いものです。再生数の上下に一喜一憂する必要はありません。
そのうえで、私たちが初期に分析することがあるのは、検索からの流入数、そこからのエンゲージメント(高評価やコメントなど)、そしてどんな傾向の視聴者がチャンネル登録しているかです。狙ったペルソナ・ターゲットに届いているかを確認し、企画の改善に活かしています。
企業YouTubeの立ち上げでよくある失敗
質を求めすぎて、なかなか始められない
よくあるのが、最初から完璧な動画をつくろうとして、いつまでも始められないケースです。機材や編集にこだわり始めるとキリがなく、準備ばかりに時間がかかってしまいます。設計はしっかり行い、動画のクオリティは投稿しながら改善していく。この考え方で始めることが大切です。
最初の数本で更新が止まる
もう一つよくあるのが、最初の数本を投稿したところで更新が止まってしまうケースです。立ち上げ直後は再生数が伸びにくく、手応えを感じにくい時期でもあります。前述の2週間分のストックや、無理のない投稿体制づくりは、この失敗を防ぐための準備でもあります。
支援事例|立ち上げから3ヶ月以内に再生数が伸び始めるケースが多い
医療・健康・美容などの立ち上げ支援で見えてきたこと
NB2では、業種の異なる10以上の企業チャンネルを支援してきました。中でも医療・健康・美容などの分野で、チャンネルの立ち上げを支援させていただくことが多くあります。
これらの立ち上げで私たちが実践している進め方の大半は、本記事でご紹介したステップのとおりです。ヒアリングからの世界観の設計、マーケットインの企画、ストックを確保してからの初投稿、そして立ち上げ期の長尺動画への集中。この進め方で、立ち上げから3ヶ月以内に再生数が伸び始めるケースが、弊社では多くなっています。
なお、ここでいう3ヶ月以内は、再生数が伸び始める時期の目安です。問い合わせや予約といった事業の成果として手応えを感じられるまでには、数ヶ月から1年程度は見ておく必要があります。
クリニックの新規チャンネル立ち上げ事例
10以上の支援チャンネルの中の一例として、あるクリニックの事例をご紹介します。このクリニックは、登録者0人・再生数0回からの新規立ち上げでした。院長による解説動画、院内紹介動画、症例解説動画の3種類を軸に毎日投稿を続け、1年で登録者数は3万人、年間再生数は844万回に。YouTube経由の新規予約は月平均60件となり、現在も月ごとに増加が続いています。
このほかの事例は、「企業YouTube成功事例5選|業種別に見る成果と共通点」でご紹介しています。
立ち上げは内製か外注か:判断のポイント
ここまでの6ステップを見ると、企業YouTubeの立ち上げには、リサーチ、コンセプト設計、企画、撮影、編集、投稿設定、分析と、多くの工程があることがわかります。
社内に動画制作の経験者がいて、時間をかけて知見をためたい場合は、内製でも取り組めます。一方で、本業が忙しい場合や、企画・分析のノウハウが社内にない場合、早くチャンネルを軌道に乗せたい場合は、外注を検討するとよいでしょう。判断基準は「YouTube運用は内製と外注どちらがいい?判断基準と併用パターン」、費用の目安は「YouTube運用代行の費用相場|料金体系・プラン別の目安と内訳」で解説しています。
まとめ:企業YouTubeの始め方は「開設前の設計」で決まる
企業YouTubeの始め方は、目的・ターゲット・競合の整理、コンセプトと世界観の設計、法人チャンネルの開設、最初の動画の企画、ストックづくり、そして投稿頻度を決めての運用開始という6つのステップです。ヒアリングから初投稿までは、2ヶ月前後を目安にしてください。
立ち上げで成果を出すために、次の3点を意識してください。
- チャンネルを開設する前に、目的・ターゲット・競合を整理し、出演者を軸にした世界観を設計する
- 法人チャンネルは会社で管理するアカウントで作成し、担当者や外注先には「チャンネルの権限」で必要な役割だけを付与する
- 2週間分のストックを確保してから初投稿し、立ち上げ期は長尺動画のみに集中する
YouTubeチャンネルの立ち上げは株式会社NB2へ
株式会社NB2では、ヒアリング、コンセプト設計、チャンネル開設から、企画、撮影、編集、投稿設定、分析まで、企業YouTubeの立ち上げと運用を一貫してサポートしています。ビジネスを伸ばしながら、クライアント様にできるだけ快適に、のびのびとYouTubeに取り組んでいただくことを大切にしています。「何から始めればいいかわからない」「自社に合ったチャンネルの形を知りたい」といった段階からでも、お気軽にご相談ください。
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この記事の執筆者
石橋 孝紀(株式会社NB2 YouTubeプロデューサー) YouTube運用代行として5年間、企業系10チャンネル以上の立ち上げ・運用を支援。中長期で成果を積み上げる運用と、クライアントが楽しみながら続けられる関係づくりを大切にしている。
出典・参考