YouTube運用は内製・外注どっち?判断基準と併用例

「YouTubeを自社で運用するか、運用代行に外注するか迷っている」「内製で続けてきたものの、なかなか成果につながらない」。YouTubeに取り組む企業のご担当者から、内製と外注についてのご相談をよくいただきます。
YouTube運用は、内製と外注のどちらか一方が正解というものではありません。会社の体制、予算、目的によって向き不向きがあり、業務によっては両方を組み合わせる「併用」が合っている場合もあります。
本記事では、YouTube運用代行として5年間、業種の異なる10以上の企業チャンネルを支援してきた株式会社NB2が、内製と外注それぞれのメリット・デメリット、判断基準、併用パターンを解説します。運用代行会社の立場ではありますが、「この業務は内製のほうがいい」と実際にお伝えしたケースも含めて、正直にお話しします。内製から外注に切り替えた企業の支援事例もご紹介しますので、自社に合った運用の形を考える材料にしてください。
この記事でわかること
- YouTube運用における内製・外注・併用の違い
- 内製と外注、それぞれのメリット・デメリット
- 内製・外注を判断する基準と、動画編集だけを内製する併用パターン
- 外注から内製への切り替えが難しい理由と、内製から外注に切り替えた企業の支援事例
YouTube運用の「内製」と「外注」とは
YouTube運用の業務は「戦略」と「制作」に分かれる
内製か外注かを考える前に、YouTube運用にどんな業務があるのかを整理しておきましょう。私たちは、YouTube運用の業務を大きく「戦略」と「制作」の2つに分けて考えています。
戦略にあたるのは、チャンネルの設計、市場調査に基づく企画、サムネイルや、検索を意識したタイトル・説明文などの投稿設定、数値の分析、改善施策の立案です。どんな視聴者に、どんな動画を、どう届けるかを決め、結果を見て次の手を考える業務です。
制作にあたるのは、撮影や編集など、動画そのものを形にする業務です。制作にも、視聴者に最後まで見てもらうための構成やテンポの工夫など、戦略的な判断がまったくないわけではありません。ただ、戦略の業務と比べると、その要素は比較的少なく、決まった企画や方針を形にしていく部分が中心になります。
このように、2つは求められるスキルの重心が異なります。そのため、「どちらを社内で担い、どちらを外部に任せるか」という視点で考えると、内製と外注の判断がしやすくなります。
選択肢は「すべて内製」「すべて外注」「併用」の3つ
戦略と制作のどちらも社内で行うのが「すべて内製」、どちらも外部に任せるのが「すべて外注」です。そして、戦略と制作のどちらかを外部に任せるのが「併用」です。
外注先にも種類があります。撮影や編集を中心に請け負う制作会社や動画編集者、戦略から制作まで運用全体を担うYouTube運用代行会社、戦略面の助言を行うYouTubeコンサルなどです。何を任せたいかによって、選ぶべき外注先も変わります。
内製のメリット・デメリット
メリット:費用を抑えやすく、動画編集は内製しやすい
内製の一番のメリットは、外部に支払う費用を抑えやすいことです。社内の人件費や機材費はかかりますが、業務を外注する費用はかかりません。
中でも動画編集は、私たちの経験上、内製しやすい業務です。編集を担えるスキルを持った人材がいれば、社内でも十分に回していくことができます。ただし、視聴者に最後まで見てもらえる動画に仕上げるには、クリエイティブなセンスやスキルも求められます。編集を内製する場合は、そうした力を持つ人材を確保できるかがポイントになります。
デメリット:内製の企業によくある2つのつまずき
一方で、内製には難しさもあります。内製で運用していた企業からご相談をいただく際、私たちがよくお聞きする悩みは主に2つです。
1つ目は、「チャンネルが伸びない」という悩みです。動画を投稿し続けているのに、再生数や登録者数が思うように増えない。企画の方向性、タイトル、サムネイル、投稿設定など、どこに原因があるのかを自社だけで見極めるのは簡単ではありません。
2つ目は、「数値は取れたが、売上へのつなげ方がわからない」という悩みです。ある程度の再生数は出ているのに、問い合わせや購入、リストの獲得につながらない。YouTubeで動画を見てもらうことと、事業の成果につなげることには、それぞれ別の設計が必要です。
どちらも、主に「戦略」の部分でのつまずきです。
デメリット:担当者が離職すると運用が止まるリスク
内製では、YouTube運用のノウハウが特定の担当者に集まりやすくなります。その担当者が異動や退職をすると、運用そのものが止まってしまうおそれがあります。これはYouTubeに限らずどの業務でも起こり得ることですが、YouTubeは企画から分析までの判断が担当者個人の経験に頼りやすいため、特に注意が必要です。
外注のメリット・デメリット
ここでいう外注は、主に、戦略から制作まで運用全体を任せられるYouTube運用代行を指します。
メリット:複数チャンネルの運用経験から、YouTubeの変化に早く対応できる
複数のチャンネルを運用する中で私たちが感じているのは、YouTubeでどんな動画が見られやすいか、どんな施策が効くかといった傾向は、少しずつ変化していくということです。運用代行会社は複数のチャンネルを同時に運用しているため、こうした変化に気づきやすく、対応も早くできます。
執筆者・石橋の視点
私たちは複数のチャンネルを運用させていただいているため、YouTubeの変化には敏感に気づき、対応できる体制があります。一方で、1チャンネルだけを運用していると、変化に気づくのが遅れたり、対応が後手に回ったりしやすいと感じています。比べられる材料が、どうしても少なくなるからです。
メリット:分析から企画・改善までを、再現性をもって回せる
YouTube運用の成果を左右するのは、数値を分析し、そこから次の企画や改善策という「成果物」を出していく力です。この力は、経験を重ねなければなかなか身につきません。NB2では、この分析と成果物づくりを再現性をもって行える人材だけが、各チャンネルを担当しています。外注することで、こうした専門性を最初から運用に取り入れられます。
デメリット:費用がかかる
外注のデメリットは、やはり費用です。特に、制作だけでなく企画から分析・改善までを戦略的に担う会社は、制作のみを請け負う会社と比べて、月の費用の総額が高くなります。費用の相場や内訳は、「YouTube運用代行の費用相場|料金体系・プラン別の目安と内訳」で詳しく解説しています。
外注しても、企業側の役割はなくならない
外注すれば何もしなくてよい、というわけではありません。運用全体をお任せいただくフルプランの場合でも、企業側に担っていただく役割があります。主な役割は次のとおりです。
- 出演、撮影日と撮影場所の確保
- 企画、動画、サムネイルなどの確認
- 視聴者からのコメントへの返信
かかる時間は、出演者や投稿頻度によって変わるため一概には言えません。そのうえで目安をお伝えすると、NB2で最も投稿本数が多い毎日投稿のフルプランの場合、撮影は月4回で1回あたり半日ほど、動画とサムネイルの確認は1本あたり20分ほど、コメントへの返信は手が空いたタイミングで1日10分ほどです。これに加えて、企画を一緒に考えていただく時間もいただいています。
この役割が滞ると、運用にも影響が出ます。実際に、確認が取れなかったために、投稿が1日空いてしまったケースもありました。外注する場合も、社内で確認や対応を担う担当者と、そのための時間を確保しておくことが大切です。
また、外注する場合も、チャンネルは会社として管理できる状態にしておきましょう。YouTubeの公式ヘルプでは、YouTube Studioの「チャンネルの権限」機能を使うと、チャンネル所有者のGoogleアカウントにアクセスさせることなく、外部のパートナーなどに役割ごとの権限を付与できると案内されています。設定の考え方は、「企業YouTubeの始め方|法人チャンネル開設から初投稿までの手順」で解説しています。
YouTube運用の内製・外注を判断する基準
内製が向いている企業
私たちの考えでは、次のような企業は内製が向いています。
- 社内に、動画編集を担える人材を確保できる(クリエイティブなスキルがあればなお望ましい)
- 費用をできるだけ抑えたい
- 成果を急いでおらず、時間をかけて社内に知見をためていける
特に、すでに編集を任せられる人材や、付き合いのある編集業者がいる場合は、その体制を活かすほうが合理的なことがあります。
外注が向いている企業
一方で、次のような企業は外注を検討するとよいでしょう。
- 内製で運用してきたが、チャンネルが伸びない
- 再生数は出ているが、問い合わせや売上、リストの獲得につながっていない
- 社内に、企画や分析のノウハウを持つ人材がいない
- 本業が忙しく、YouTube運用に人と時間を割きにくい
- 特定の担当者に頼らず、運用を安定して続けたい
「全部か、ゼロか」ではなく、業務ごとに考える
内製か外注かは、すべてを社内で行うか、すべてを任せるかの二択ではありません。戦略と制作のうち、社内で担える部分は担い、難しい部分だけを外部に任せる。こうした業務ごとの判断が、費用と成果のバランスをとるうえで現実的です。
私たちの経験では、内製しやすいのは動画編集などの制作で、外注によって効果が出やすいのは企画や分析などの戦略です。次に、この考え方に沿った併用パターンをご紹介します。
併用パターン:動画編集は内製、戦略は外注
併用を選んでいる企業の特徴
NB2では、撮影・編集を企業側で行い、企画、サムネイル制作、SEO改善、投稿設定、分析、改善施策の提案をNB2が担う「スタンダードプラン」をご用意しています。このプランを選ばれているのは、動画編集を社内で行える体制があり、全体にかかる費用をできるだけ抑えたいと考えている企業です。
うまくいくポイントは、品質と単価のバランスがよい制作者の確保
併用がうまくいくかどうかは、制作を担う人材に大きく左右されます。正直にお話しすると、ポイントは、単価を抑えながらも高品質な制作ができる人を確保できるかどうかです。
執筆者・石橋の視点
弊社も価格面ではかなり努力させていただいていますが、フリーランスで高いスキルを持ちながら手ごろな価格で制作されている方と比べると、法人である私たちが価格で並ぶのは難しい部分もあると考えています。そうした方を確保できるのであれば、制作はその方に任せ、戦略の部分を専門の会社に任せる形は、費用を抑えるうえで合理的な選択肢だと思います。
NB2の実例:今の編集体制のままをおすすめしたケース
実際に、すでに付き合いのある編集業者がいた企業からご相談をいただいた際、その業者の金額を確認したうえで、「編集はNB2に移さず、自社側で行ったほうがよい」とおすすめしたことがあります。
私たちが大切にしているのは、すべてをNB2で請け負うことではなく、クライアント様のビジネスが伸びる形を一緒に考えることです。費用をかけるべきところと、抑えられるところを分けて考えることも、その一つだと考えています。
戦略の助言だけを受けたいならYouTubeコンサルという選択肢も
撮影・編集に加えて、企画や投稿設定も社内で行い、戦略の方向性についてだけ専門家の助言を受けたい場合は、YouTubeコンサルという選択肢もあります。
外注から内製への切り替えが難しい3つの理由
併用のもう一つの形として、「最初は外注で立ち上げ、軌道に乗ったら内製に切り替える」という考え方もあります。不可能ではありませんが、私たちの経験では、外注から内製への切り替えは正直かなり難しいと考えています。理由は次の3つです。
YouTubeの変化に、1チャンネルだけで対応し続けるのは難しい
前述のとおり、YouTubeで見られやすい動画や効果的な施策の傾向は変化していきます。運用を社内に移すと、自社の1チャンネルだけを見ながら、その変化に気づき、対応し続ける必要があります。私たちの経験では、これはかなり難しく、対応が遅れて後手に回りやすくなります。
分析から成果物を出す力は、引き継ぎにくい
数値を分析し、そこから企画や改善策という成果物を出す力は、意外と引き継ぎが難しいものです。手順としては伝えられても、判断の精度やセンスまでは、なかなかうまく引き継げません。NB2でも、この力を再現性をもって発揮できる人材だけが各チャンネルを担当しています。そのため、私たちが担当できるチャンネル数にも、どうしても上限があります。
内製化できても、キーマンの離職で止まるおそれがある
仮に、社内でYouTube運用を担えるキーマンが育ったとしても、その方が離職すると、運用を続けられなくなるおそれがあります。内製のデメリットでも触れたとおり、どの業務でも起こり得ることですが、外注から内製へ切り替える場合は、このリスクも踏まえて判断する必要があります。
支援事例|内製から外注に切り替え、リスト獲得0件から月最大4,000件へ
NB2が支援してきた10以上の企業チャンネルの中から、一例として、内製から外注に切り替えた企業の事例をご紹介します。同じ成果をお約束するものではありません。
内製のときの課題
この企業は、もともと社内でYouTubeを運用していました。抱えていた課題は、前述した内製でよくある2つのつまずきそのものでした。1つは、チャンネルが思うように伸びないこと。もう1つは、ある程度の数値は取れていたものの、それを売上やリストの獲得にどう結びつければよいかがわからないことでした。
NB2が取り組んだこと
私たちが最も意識したのは、企画の変え方です。多くの人に見てもらうための企画と、視聴者に必要な知識を届けて理解を深めてもらう企画、商品への興味を持ってもらう企画を組み合わせ、視聴者の興味が自然に商品へ流れていく導線を設計しました。
あわせて、商品につながる検索ワードからの流入を増やすため、SEOを強化しました。さらに、動画内や概要欄での誘導の仕方も見直し、興味を持った視聴者が次の行動に移りやすい形に変えました。
支援後の変化
支援を進める中で、チャンネルの数値は改善・上昇し、集客や顧客の獲得にもつながりました。特にリストの獲得は、支援前の0件から、最大で月4,000件を獲得するまでになりました。
再生数を伸ばすことと、事業の成果につなげることには、それぞれ別の設計が必要です。この事例は、その両方を戦略として組み立てたことで、数値と成果の両方が伸びたケースです。視聴者を顕在層・潜在層に分けてリストにつなげる考え方は、「YouTubeマーケティングとは?メリット・デメリットと成果の出し方」でも解説しています。
執筆者・石橋の視点
内製でつまずいてご相談いただく企業の多くは、動画をつくる力が足りないのではなく、「誰に、何を、どの順番で見てもらい、どう行動してもらうか」という設計の部分で迷っていると私は感じています。制作は社内でも十分に担えます。だからこそ外注を検討する際は、自社がどこでつまずいているのかを見極め、その部分を任せられる依頼先を選んでいただきたいと思います。
このほかの事例は、「企業YouTube成功事例5選|業種別に見る成果と共通点」でご紹介しています。
まとめ:内製か外注かは「どの業務を、誰に任せるか」で決める
YouTube運用の内製と外注は、どちらか一方が正解というものではありません。内製は費用を抑えやすく、特に動画編集は社内で担いやすい一方、伸び悩みや売上へのつなげ方といった戦略面でつまずきやすく、担当者の離職というリスクもあります。外注は、YouTubeの変化への対応や分析・改善を専門家に任せられる一方、費用がかかり、企業側の役割もなくなりません。
自社に合った形を選ぶために、次の3点を意識してください。
- YouTube運用の業務を「戦略」と「制作」に分け、業務ごとに内製・外注を判断する
- 動画編集を担える人材がいるなら、編集は内製し、戦略を外注する併用も検討する
- 外注する場合も、出演や確認など、企業側の役割と時間を確保しておく
YouTube運用のご相談は株式会社NB2へ
株式会社NB2では、チャンネルの立ち上げから企画、撮影、編集、投稿設定、分析・改善施策の提案まで、企業のYouTube運用を一貫してサポートしています。編集を社内で行い、戦略の部分をNB2が担うスタンダードプランもご用意しています。ビジネスを伸ばしながら、クライアント様にできるだけ快適に、のびのびとYouTubeに取り組んでいただくことを大切にしています。「内製と外注、自社にはどちらが合うか知りたい」「今の体制のまま、どこを任せればいいか相談したい」といった段階からでも、お気軽にご相談ください。
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この記事の執筆者
石橋 孝紀(株式会社NB2 YouTubeプロデューサー) YouTube運用代行として5年間、企業系10チャンネル以上の立ち上げ・運用を支援。中長期で成果を積み上げる運用と、クライアントが楽しみながら続けられる関係づくりを大切にしている。
出典・参考